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ってわけでもないんですけど…
最初、ひとつの話だったんですけど、削った残り部分を切ったり張ったりしてみました。

ユーリとヤっちゃった場合の後日談?
フレンとおっさんしかでてきません。

ホントに私、気持ち悪い!(知ってる)

 

***

ユーリを抱いたその日、彼女の結界が破られたのだ。
…と、彼が言った。
 
 
 
 
 
久々にオルニオンにやってきた、ある日。
いつもはユーリまっしぐらなフレン騎士団長代行様が、
何を血迷ったのか、一瞬彼女に目配せしただけで、ものすごい勢いでこっちへやってきた。
 
澄んだ空色の瞳を凄ませて、「シュヴァーン隊長、少しよろしいですか?」と言われては従うしかない。
 
本当はよろしくないし、そもそも自分はシュヴァーンじゃない。
何度言えば解ってもらえるのだろう。
 
前を歩く、彼の凄まじい剣幕に、一体、何を言われるのやらと肩をすぼめる。
 
 
嫌な予感がするなぁ…。
 
 
「ユーリは…、結界をもってるんですよ。」
 
部屋(小屋?)に案内されて、開口一番がそれだった。
 
「結界?」
 
ばかでかい結界魔導器を想像して、首を傾げる。
まあ、そんなわけないので暗喩だろうと理解する。
…それが解ったところで、まぁ、さっぱりだが。
 
そんな様子をみかねてか、フレンは何とも言えない表情で問いかけた。
 
「ユーリを初めてみたとき、どう思いました?」
「や、綺麗なコだなぁって。」
「それだけ、ですか?」
 
普段は穏やかな瞳に、鋭い眼光が宿る。
はっきり言って、物凄く怖い。
まるで、つい先日、彼の大切な幼なじみの純潔を奪ったことを、見透かされてるようだ。
 
罪悪感と、恐怖心で、とてもじゃないが居た堪れない。
針の筵だ。
 
「…と、言いますと…?」
「…近寄りがたいなぁとか、思いませんでした?」
「…え、あぁ…っ」
 
そうだ。
いつも思っていたのだ。
彼女のように美しい人間は、同じく、美しい人間がそばにいるべきだと。
自分なんかは、全然ふさわしくないのだと。
 
深く頷いてみせると、フレンは一瞬、いつものような笑みを浮かべた。
が、すぐにまた険しい表情に戻った。
 
「それが結界なんですよ。ユーリの美しさは比類がない。
だから誰も必要以上に踏み込まないし、踏み込めない。
するとその内、彼らは彼女に勝手に幻想を抱く。
『綺麗な彼女は下拙なことは何もしないのだ、だって美しいのだから。当然、性交なんてもっての他だ。』なんて具合に。」 
「……」
「…勝手な願望です。でもそれが、結界だったんです。」
 
彼女を護るための、とフレンは言った。
 
「でも、」
 
悪を許さぬ、正義の視線が全身を射抜く。
 
ああ、やっぱり見透かされてるじゃないか。
彼は全部解った上で、ここに自分だけ呼んだのだ。
あの一瞬で、ユーリが奪われたものと、奪った不届き者を見抜いたのだ。
 
「あなたがそれを破ってしまった。」
「……」
 
誰よりもユーリを大切にしていたであろう、彼にしてみれば、
ユーリの処女をどこぞの馬の骨とも知れない自分なんかに奪われたのは不本意極まりないだろう。
自分が、フレンの立場だったら殺意を覚えてもおかしくない。
 
ついてくるんじゃなかった…。
 
観念したように、肩を竦めてみせると、意外なことにフレンは慈悲に満ちた表情を浮かべていた。
 
「…責めてるわけではないですよ。だって…、それは彼女が望んだことでしょうから。」
 
優しく微笑む彼に、神父に懺悔する罪人の心境になる。
そんなこと、したことないが。
罪は赦されるものじゃなく、背負って生きるものだ、というのが自論だからだ。
 
まぁ、今は一刻も早く、この神父に赦されたいと思っているのだが。
 
「きっとユーリはずっと探してたんでしょうね、結界を、やぶってくれる人を。」
「……どうして、そんなことを?」
 
途端、神父が罪人の顔になる。
 
「僕には、できませんでしたから…」
「え…、」
 
どういう意味か、と聞き返そうとしたその時、
4回のノックの後、「フレン隊長、よろしいでしょうか!」と副官・ソディアの、よく通る声がした。
それに、「ああ、今行く。少し待ってくれ。」と、外用の声で返すと、すまなそうに、こちらに向き直る。
 
「申し訳ありません。お呼びたてしておきながら…」
「いえいえ、早く行っておあげなさいな。あんまり女性を待たすもんじゃないわよ。」
 
すみません、と一礼して扉の前に立つ。
 
「ありがとうございます。」
「いやいや、全然…」
 
むしろ、こちらが申し訳ないくらいで…。
 
一発くらい、殴ったりしなくていいんだろうか。
殴られたくはないけれど、そうされた方が、少しは罪悪感から解放される気がする。
 
「――――……え?」
 
扉を開ける直前、フレンが何か呟いた。
聞き返そうと、した時には既に彼の姿はなく、模糊に聞こえたその言葉が呪縛のように纏わりつく。
 
 
 
 
 
―――これからは、あなたがユーリの結界です。
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