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えのきのぶろぐ。
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ひどい中二病です。
中二のくせにえろいです。
いえ、大してえろくありません。
一応注意です?

暇つぶしにもならないと思いますが…

ユーリたんが病んでるのは仕事人の重みのせいってことらしいですよ。
むしろ、病んでるのは私です。

好きだと言われたわけではない。
まして、好きだと言ったわけでもない。

当然だ。
そんな感情、お互いハナから持ち合わせていないのだから。

だから、こんな風になっているのに大した理由はない。
きっかけもない。

たぶん、気紛れだったんだろう。
巡り合わせだとか、運命だとか、そんな綺麗な言葉はおこがましい。
本当にただの因果律。
原因と同じく、些末な結果。

だけれど…
だからこそ、
気づいてしまったのかもしれないが。

どうせ今更、引き返せない。


**


夜の帳に包まれ、街もすっかり寝静まった真夜中。
今日も今日とて、夜色に紛れる黒猫の如きしなやかさで彼が現れる。
それ程小さな気配は、けれども、色を帯びた荒い呼吸で台無しだった。

「いらっしゃい」

常客の来訪に、もう習慣のように彼を、自分のベッドに誘(いざな)う。
その言葉を合図に、彼の細い腕が己の首にまわる。

髪も、目も、身を包む衣服も全て黒であるのに、近づく顔は新雪のように白い。

「ん…っ、」

そうして、彼の柔らかな唇が重なってくれば、一時の安楽の始まり。

抱き締めて、口付けて、繋がって…──

彼にとって、この行為に愛はない。
結果として満たされる生理的欲求も二の次だ。
目的はただひとつ。
“忘れること”。
脳から離れない忌まわしい記憶と、身体に残る生々しい感覚を、
たった一瞬でも、たった一刹那でも、上書きしようとしているのだ。

それに気が付いたのは何度目の性交だっただろう。
自分を好いて訪ねてきているのではないことは、初めからわかっていた。
多分、人一倍弱みを見せたがらない彼にとって、
他人と一歩距離を取る自分を都合が良いと踏んだのだろう。
詰問も、まして箴警することもないと。

それは正解だ。
人が嫌いなわけではないが、深く関わるのは御免被る。
人間関係はライトにいきたい。
つかず離れず、それが理想だ。

だが、彼に限って言えば不正解だった。

自分でも不思議だったのだ。
いくら淫らに、切なげに夜這いをかけられたところで、普段なら応じるはずはない。
何せ、これから長い付き合いになるだろう旅の仲間の誘いだ。
“人と深く関わらない”、という信条に矛盾する。
そして、肌を重ねるだけならおろか、彼の心情まで慮る自分。
なんという二律背反。
三十路過ぎのいい大人がこんなにも動揺させられる。

その感情の名前に思い当たったのはつい最近。

それから稀に、口をついてしまう言葉があることに、彼は気付いているだろうか。
否、気付くはずもない。
知って尚、自分に縋るわけがないのだから。

だから、
求められるうちは、
気付かれないうちは、
受けとめようと決めたのだ。
求められるまま抱き締めて、口付けて、繋がって…―
彼の中に自分を刻み付ける。
何度も、何度も、ただがむしゃらに。
そうしていつか彼に安息の夜がくるように。

さぁ、今夜は気付くだろうか。
一抹の期待と不安、相対する2つの感情を胸に抱き、小さく囁く。


―愛してる、ユーリ…―
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